2020年02月09日

前回のつづき・・・ ゆみちゃんと先生



・・・前回のつづきです。


行きの飛行機の中で、<ゆみちゃん(仮名)>に出会いました。


午後発の飛行機のフライトすぐ、ちょっと昼寝を
しようかなぁ~と思ってうとうとしたら、
先生達の座席の右ななめ3つ前くらい、真ん中の座席が、騒がしい。
「トイレ行きたい~」「いやだ~」「ママあっちいけ!」叫ぶ女の子の声。
そっか~、小っちゃい子が駄々をこねてるなぁ~、
トイレだったら、一人で行かせてあげたらいいじゃないかなぁ~ と思いながら
薄目を開けてみてみると、どうも様子が違う感じ。

右側に、お母さま。左側に、お父さま。お二人とも必死で、真ん中の女の子の
手を押さえつけたり、背中や頭をとんとんして落ち着かせて。
そして、それでも真ん中で、じたばたしている中学1年生くらいの、女の子。 
それが、<ゆみちゃん>でした。


・・・疲れないのかな? と思うくらい、ひっきりなしに手足を動かして、
フレーズを大声で連呼しています。
お母さまのほうは、「飛行機の中だからね、しーーーーっ、だよ。」となだめたり、
お父さまは、暴れるゆみちゃんを必死で押さえつけています。

CAさんが気を効かせて、おもちゃなどを差し出すも、全く聞かない。
「すいません。すいません。」何度も謝るお母さまと、
頑なに表情を変えない、押さえつけてるお父さま。


ちょっと様子が違う状況に
・・・あ、この子は、こんなお子さんなんだな。・・・と思い始めました。

周りの乗客の方たちも、状況を知ってか知らぬか、皆さん無言です。



・・・そのうちに、 トイレに立った次女が、ゆみちゃんの前を通ったところ、
(座席の前がちょうど通り道だったのです)
足を蹴られてしまったそうです。

「足を蹴られた。」戻ってくるなり、小声で伝える次女。
ふーん・・・と 様子を見る先生。

しばらくして、CAさんがやってきて、
「足は・・・大丈夫ですか?
お子さまが、あちらのお客様に、足を蹴られてしまったそうで、
・・・お母様がそのことで、大丈夫か気にされていらっしゃいました。」と申し訳なさそうに
仰いました。
状況が何となくわかっていましたので、「あっ 大丈夫です!そんな気にしないで・・」と
伝える先生。 そして、それからCAさんの一言、

先生は、そっちの方が、衝撃的でした。

「あちらの方は、障がいをお持ちのようで・・・ 
ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」

・・・先生だって、<重症筋無力症>という難病です。
ヘルプマーク持ってますが、薬が無ければいつだって障がいになり得る体です。


「障がいは、迷惑なもの ではないですよ。」


はっきりそのCAさんにお伝えしました。




・・・さて、 相変わらず叫んでいるゆみちゃん。
必死で止めようとしている お母様とお父様。

斜め後ろ3列目くらいから、
見ているうちに、聞いているうちに、
ゆみちゃんと、そのご家族の方と、お話をしたくなってきました。

先生も、公共の場で、こんな経験があるから。
本当は静かにさせないといけない。 でも この子はできない。
でも、静かにさせないといけない。 まわりに迷惑がかかるから。
でも、でも・・・・・

・・・・あの時あの時、日々一生懸命だった先生と、親御さん達がリンクして・・・

ゆみちゃんを止めようと話に行くのではない。

頑張っているお母様とお父様に、大丈夫ですよ、と共感してあげたい。
ただ、話相手になってあげたい。


・・・迷惑かもしれないけれど、怒られるかもしれないけれど・・・
先生、そぉ~っと立ち上がり、勇気を出して話しかけてみました。

「どうしたの?」とゆみちゃんの目をみて、しゃがんで笑顔で話しかける先生に
ゆみちゃんご一家、一瞬、動作も声も止まります。

「・・・トイレ行きたい・・・」ゆみちゃんが必死で先生の目を見て訴えます。

「そっかぁ おばちゃんもトイレ行くけど、一緒に行く? 行こ?」
と手を差し出すと、お母さま
「いいんです。逃げたいときの常套句で・・・」苦笑いして答えます。
「あ そうなんですか、 お家でもそうなんですか?」
「そうなんです~。」ちょっぴり(困ってて・・・)笑顔が見えました。
「1人で行かせると、周りの人に危害を加えるので・・・」
なので、ゆみちゃんに、
「飛行機の中はトイレが一個しかなくてね、今いっぱいで、
入れないみたいなの。」と伝えると、すかさず、
「トイレいっぱいなんだって。もうちょっとたったら、行こ」と伝えるお母様。
(後で確認したら、トイレ一個ではなく、もっとありました。すみません(汗))


お母さまの笑顔が嬉しくて、思わず「お子さん お名前なんていうんですか?」と尋ねる先生に、
「あ、ゆみ というんです、ねっ」と、ゆみちゃんの方を見て
笑うお母様。(先生はここで初めて、女の子が<ゆみちゃん>であると知るのです)

「えっ ゆみちゃんていうの? おばちゃんはね、<えみちゃん>ていうんだよ。
似てるね~!」と つられて笑う先生とお母様に、
ゆみちゃんは、声も出さず、不思議な表情をしています。


そうだったのか~、 よく頑張って乗っていてえらいえらいね。と 
先生思わずゆみちゃんの頭をなでなで、

そして、背中をポンポン優しくリズムよく触れました。
(・・・先生も、我が子の子育てで悩んだときに、学童の支援員さんが必ず最後に
そうしてくれて、本当に心が安心したことを 思い出したのです。)


すると お父様も、少し表情が和らいで
「リズムがね、あって、、 いい時はいいんですけど、
ちょうど当たっちゃって・・・」
・・・よく見ると、お父様の手は、傷だらけ。
ズボンも、ところどころ汚れていました。 
もっとよく見ると、ゆみちゃんのズボンもところどころ
ちぎれて 穴が開いていました。

ゆみちゃんも、ゆみちゃんの御両親も、今まで一生懸命
多分、色んな出来事や気持ちを通って、ここまで来たんだなぁと、
先生には、痛いくらい、伝わってきました。

それでも また「トイレ行きたいー」と叫びだすあみちゃんに、
ポンポンと頭をなでようとしたら
バシッと蹴られ、差し出した右手の甲をガブッと噛まれてしましましたけれど、

御両親はまた、必死に謝っておられましたけれど、

けれど、

先生は、ゆみちゃんが、ご家族にするようと同じように
先生にも感情を出してくれたことが、嬉しかったなぁ。
御両親と同じように、見てくれたのかなぁ。 
だったら、ゆみちゃんの心の中に入りこめて、嬉しかったなぁ。


嬉しいのと、ゆみちゃんの痛いくらい一途な気持ちがじんわり伝わって、
涙が出そうになったまま、
「そうですかー。 そしたら、うちの子が、スマホに面白い
画像なんかを入れてますんで、良かったら見せますので、言ってくださいね。」
(昨年の記事、あの、<長女のスマホ>です(笑))
と、ゆみちゃんにバイバイして 本当にトイレに行きました。
(そして、ちょっと泣きました。)


その後も、約2時間半、那覇空港到着まで
ゆみちゃんの、ちょっと小さくなった(かもしれない)叫びは続きましたが、
「リズムもあるし、おうちでもそうなんだし」と分かりましたので
そんなに気にならなくなりました。
そして、叫びながらも、時々小さい早口の声で、
「ごめんね、ごめんね。」を繰り返すゆみちゃんも、出てきました。

飛行機が止まったら、ゆみちゃんの叫びも止まりました。

出口へ向かいながら、目を合わせて、「ゆみちゃん、バイバイね。」

今度こそ、本当にバイバイかもしれない。

だから、いっぱいの笑顔で ゆみちゃんの頭を
いっぱいいっぱいなでなでしました。

先生は、ゆみちゃんをじっと見て。
ゆみちゃんも、先生をじっと見てました。


・・・・ゆみちゃんご一家は、それから何処へ行かれたのでしょう。

・・・帰りの飛行機の中では、会えませんでした。


また、ご縁が会ったら、いつかに どこかで 会えるはず。


手の甲の傷はもう消えてしましまっても、
先生の心の中には、多分、気持ちが通じ合った
運命の(笑)ゆみちゃんが、ずっといます。




・・・・さて、 名護の桜!
 
先生たち親子ランのコースも、長女のハーフのコースにも、
残念ながら、桜を見ることはできませんでした。

でも、長女は、「潮風に当たりながら走れて、気持ち良かった♪」と言っているし、
次女は、ライバルのお友達親子さんを見つけたし、
先生も・・・・、 (運転もランも(笑))頑張ったし、

沖縄のごはんは美味しかったし!


・・・桜以上のたくさんの出来事を、
また今回も 頂きました。

家族 みんなで。 



「どうもありがとうございました!」icon16icon16icon16






             

         ↑飛行機の窓から見える、雄大な雲海









  
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Posted by 学研スポーツ公園通り教室・妻沼東ゆい教室 at 09:00出会い